こんぺいとうびより
「さよか!夜だし危ないって!日本じゃないんだから。」

家の前の道でさよかの細い手首を掴むと振りほどかれそうになる。カイは反射的に彼女の腕を引っ張り抱き寄せた。

「・・・ごめん。俺が悪かった。家で話そう。外の方がいいなら車出すから。」

ショートカットの髪を撫でながら言うと、さよかはこくんとうなずいた。



「・・・カイは、うちのこと妹みたいに思ってるでしょ。」

さよかはカイが入れてくれたほうじ茶をひと口飲むと湯呑みを静かにちゃぶ台に戻して言った。

「・・・そんなことないよ。」

いつもの彼女らしくないしおらしい様子に戸惑ってしまう。

「・・・だって、女として意識してないから、気軽に『うちに来て』なんて言えるんだよ。」

「さよかが困ってたから、単純に力になりたいって思って言ったんだよ。」

猫舌のカイはほうじ茶にはまだ口をつけず、湯呑みに両手を添えながら静かに言った。
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