こんぺいとうびより
友達(ヽヽ)だから・・・だよね。カイは優しいから。」

「男友達とは違うし、さよかのことは本当に大切に思ってるよ。知り合ったのは大人になってからだけど、もっと前から知ってるような気がするし。」

「・・・うちは、結構前からカイのこと友達とは思えなくなった。」

そう言う彼女は苦しそうだ。

「気付けなくてごめん。しかも恋愛相談なんかしてアドバイスもらって・・・その度にさよかのこと傷付けてたんだな。」

「それはいいよ。だってうちはそういう鈍感なところも含めてカイのこと好きになったんだから。そうなって毎日がキラキラしてすっごく楽しくなったんだ。」

自然と声に力が入り、逆に表情は緩んだ。

「でもさ・・・。」

───辛かったはずなのに、さよかはいつもひまわりみたいな笑顔で俺の話を聴いて、元気付けてくれた。

「本当はこんな風には伝えたくなかった。もっとちゃんと時間かけてうちのこと少しでも好きになってもらえてから・・・でも、カイを追っかけていくって決めてから、今まで抑えてた気持ちが抑えきれなくなったんだ。」

さよかは俯き、正座した膝の上でグッと両手を握りしめた。

「・・・俺は日本で好きだった女性(ひと)のことはもう完全に吹っ切れてるんだ。彼女に好きな人がいるんじゃないかっていうのはもともと分かってたけど、本社に戻ることが決まってダメ元でした告白だったから・・・さよかのことはちゃんと女性として見てるよ。信じてほしい。でも、さっき『好き』って言われてびっくりして・・・正直戸惑ってる。」

ほうじ茶の水面に視線を落とす。

「・・・困らせてごめん。仕事まで辞めて追いかけてくるとか引くよね。今日はもう遅いけど、明日になったら出てくから。うちも気まずいの嫌だからさ。」

さよかは泣きそうな気持ちをこらえて顔を上げると、ははは、と気丈にいつもの笑顔を作ろうとする。

「その・・・よかったら部屋に戻れるようになるまでここにいたら?」
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