こんぺいとうびより
浴室洗剤の香りに包まれながら無我夢中で触れ合ううち給湯レバーに触れてしまい、高いフックにかけてあったシャワーからお湯が吹き出した。

「「うわぁ~!!」」

キスに夢中だった二人は状況を把握するのに時間がかかり、気づいた時にはびしょ濡れになってしまっていた。

「「ははは!」」

顔を見合わせて大笑いする。

「このまま一緒にお風呂入っちゃおうか?」

さよかが風呂の縁に座って無邪気に言うとカイは真っ赤になる。

「本当さよかは・・・そういうとこだよ・・・。いつもそうやって俺を驚かせる。」

───しかもいつも赤とかピンクとかビビッドな色の服着てるくせに、なんで今日に限って白いTシャツなんだ!?濡れて肌が透けて・・・その姿でそういうこと言うとか、天然はどっちだよ!?

カイは首の筋肉に全神経を集中させ、彼女の姿が目に入らないように思いきり横に顔をそらす。

「だって、どっちかが濡れたまま待ってたら寒いじゃん?変な意味じゃなくてさ、混浴とか普通にあるよね。」

「汚れたんじゃなくて濡れただけだし、着替えてドライヤーすればいいだろ?それに・・・どうしたって変な意味になっちゃうよ。俺だって男なんだよ?さよか、俺が自分のこと女として意識してないって言ってたけどさ・・・さよかだってこの家にいる間、すごい安心しきってたでしょ?きわどい格好でうろついたり、俺の前で無防備に寝たりとか・・・。結構きつかったんだからな。」

「ははっ、じゃ、いいよ。変な意味でも。」

「さわやかに言うな!」

困惑したカイの声が風呂場に響いた。
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