キミが教えてくれたこと(改)
そっか、彼女にもそんな悩みが、
「ふーん、なるほどね〜」
「!!!は、晴人!!」
ベンチの後ろには渡り廊下がありその両サイドには体の下半分が隠れるコンクリート壁がある。
そこに上半身を預けながら肘をついて同じように川瀬さんの後ろ姿を見送っていたのは晴人だった。
「いつからそこに!?」
「ん?川瀬が実はアニメとか好きで漫画とかフィギュア集めてるって所から」
「それ始めからだよね?盗み聞きしてたわけ?」
「人聞き悪い事言うなよ。茉莉花が呼び出されたのかと心配でしゃがんで後ろで聞いててやったんだろ?」
「それを盗み聞きって言うのよ!」
はぁ、と頭を抱えてため息を零す。
「で?」
「なに?」
「茉莉花はどう思ったわけ?今の話し」
晴人は渡り廊下を出て私の隣に腰掛ける。
「…不謹慎かもしれないけど、嬉しかった。川瀬さんの心の内を話してもらえて。私も他の人と距離をとっていたけど、川瀬さんは自分の事だけじゃなく周りの事も考えてて凄いなって」
「それで?」
「え?」
「そう思って、茉莉花はどうしたいって思った?」
"茉莉花はどうしたい?"
そうだ、小さくても変化をもたらせたい。
その時大きな風が吹いて上空に吹き上がった気がした。
自然と空を見上げると雲一つない青空が広がっている。
「私は…ーーー」
晴人は私の言葉を聞くと笑顔で頷いてくれた。