キミが教えてくれたこと(改)



「ただいま!遅くなってごめん!」


「おかえり。もうすぐご飯出来るわよ、手を洗ってらっしゃい」


放課後、クラスメイト達と体育祭のことで居残りをしているといつの間にか陽は沈み思ったより遅くまでかかってしまった。



「…茉莉花、なんか糸くず付いてるけど」

「え?あ、うわ!ほんとだ!」

「こっちいらっしゃい。取ってあげる」

お母さんは食事をダイニングに運ぶ手を止め、私の髪についた糸くずを取ってくれた。


「はい、これで大丈夫。でもなんで糸くずが…」

「えっと…実は今体育祭の仮装用にクラスの女の子達と服を縫ってて…。それで帰ってくるの遅くなって…」

ごめんなさい。と謝る私に驚いた後お母さんはふっと笑みを浮かべた。


「茉莉花の口からお友達の名前が出るなんて。どうりで最近楽しそうだったのね」


嬉しそうに笑うお母さんに私は顔を赤くして下を向くしかなかった。


「明日も遅いの?」

「体育祭まではしばらく遅くなるかも…」

「そう。じゃあしっかりご飯食べてゆっくり寝て、また明日に備えないとね!」


お母さんは鼻歌を歌いながら晩御飯の用意を再開した。

自分の事のように喜んでくれているお母さんの後ろ姿に微笑んで私は温かいご飯を食べた。








「いよいよ体育祭も来週だなー」


校舎裏、晴人と風を感じながら二人で秘密の時間を過ごす。


慌ただしい毎日を過ごしているといつの間にか体育祭の日も残すところ一週間後となった。


「ほんとだね、いつの間にか…」


風が優しく頬に触れる。


「…私、変わったかな?」


「え?」


「最近、いろんな人に言われる。自分ではまだまだだなって思うんだけど…」


優しく接してくれるクラスメイトや、いつでも見守っていてくれる父や母を思い出す。


「…もっと変わりたい。みんなが私にしてくれたように、私もみんなに何か返したい」


晴人はふ、っと笑う。


「…茉莉花はどうしたい?」


晴人の言葉に真っ直ぐ前を向く。


「リレーで一番になる!!」


私は強く拳を握った。


「晴人」

「ん?」

「協力してくれる?」

様子を伺いながら聞くとすぐに笑顔になり「当たり前だろ」と頭を撫でてくれた。





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