キミが教えてくれたこと(改)
もっと近くに、そばにいたい。
ジメジメとした6月、街では梅雨入りしたそうだ。
連日の雨で憂鬱になっていたが、あの体育祭以降クラスメイトと仲良くなりそんな気分を吹き飛ばしてくれるほど元気な彼女達に救われていた。
「あの時の2位のクラスの人達の顔!みんな声揃えてビックリしてたもんね!」
「まさかうちのクラスが逆転1位だとは…。今年の体育祭楽しかったー!」
私と百合の他に、山内 亜里沙さんと道下 美月さんがいる。
山内さんはサラサラストレートヘアで切れ長の目を持つ女の子。
道下さんはお団子ヘアがトレードマークの元気で可愛らしい女の子。
二人は中学からの親友ですごく仲が良い。
「あ、ほら!これ、茉莉花ちんだよ!全世界が涙した感動のゴールシーン!」
「うわ!は、恥ずかしいよ!」
そこにはボロボロになり涙を堪えながらゴールへと向かう自分の姿が映っていた。
「そんなことないよ!かっこよかった!さすが私の茉莉花ちゃん」
語尾にハートが付きそうなくらい甘くうっとりした顔で見つめてくる百合に顔を痙攣らせる。
「でもほんと、凄いよ!私だったら諦めちゃうけど、あそこで辞退せず最後までやり切る所がいいよね」
山内さんが話す度、彼女の綺麗な髪が揺れ私は照れながら下を向いた。
「あの時は…その…」
晴人がゴールテープの向こうで私を励ましてくれたから。
だから、最後まで頑張れた。
みんな見てたから知ってるだろうけど…。
「は、晴人が…応援してくれた、から」
「え?なに??」
!!そうだ!みんなは私と晴人の関係性を知らないんだった!!
「あ、いや、その、みんながあの時応援してくれたから頑張れたんだよ!ありがとう!」
「茉莉花ちんが頑張ってるの見てみんな感動してついついゴール前まで走ってっちゃっただけだよ〜!こちらこそ、感動をありがとう」
道下さんの言葉に4人で何も言わずただただほっこりした気持ちでニコニコ笑顔だった。