キミが教えてくれたこと(改)
「ほらほら!こんなのもあるよ!」
「えー!すごい、これ盛れてるね〜!」
「わー!その写真ちょうだい!」
「………」
そっか、私友達いなかったから今まで学校の行事で写真を撮るって発想が無かった…。
みんなで撮った写真を思い出話を添えて見ていく。
「これもー!見て見てー!…って、めんどくさいしみんなで写真共有しない?グループ作ろうよ!」
「いいねいいね、そうしよう!茉莉花ちゃんもスマホある?」
「え?い、いいの?私も入って…」
私のその一言にみんなが黙ってしまった。
「茉莉花ちん…」
「は、はい!」
「うちら、友達だよね!?当たり前でござろう!!」
道下さんが眉を寄せながら私の両手を握ってそう言ってくれた。
私もその手を強く握り返す。
「で、では、宜しくお願い致す…!」
「武士か」
山内さんのクールなツッコミをみんなで笑いつつ、連絡先を交換し増えていく自分の連絡先に自然と笑顔になった。
慣れている彼女達は通信アプリを使って次々に写真をあげていく。
「………」
みんなのくれた写真を一つずつ確認するがそこに晴人は写っていなかった。
せっかくの体育祭だったのに…。
一枚でいいから、一緒に写真撮ろうって言えば良かった。私のばか。
写真をスライドしていくとある一枚に山内さんと男の子のツーショットを見つけた。
「あれ?これって…」
「ん?ああ、彼氏だよ。ごめんごめん、間違って一緒に送っちゃった」
「か、彼氏!?」
聞き慣れない言葉に驚きつつ、その写真を凝視してしまった。
写真の中の二人は顔を近づけながら笑顔でピースサインをしている。
一見クールに見える山内さんがこの写真では可愛らしい少女に見えた。
「山内さん彼氏いたんだねー、どれくらい付き合ってるの?」
「中3からだから今年で3年かな?」
「さんねん!?」
す、すごい…!私には未知の世界だっ!
「ちなみに5組にいるよ」
「お、同じ学校だったの!?」
「彼氏の方がね、一緒の高校がいいって。ラブラブなんだよね〜」
「ちょっと美月、からかわないの!」
ニコニコ自分のことのように嬉しそうに言う道下さんに山内さんは少し顔を赤らめながら怒っていた。
「すごい、好きな人が自分の事を好きになってくれるって奇跡だよ。すごいことだよ!」
「そうだよね。茉莉花ちゃんの言う通り、好きな人が自分の事を好きでいてくれるって奇跡だよね。私には手の届く場所にいるってだけで羨ましい…」
はぁ、と溜息を零す百合に「あ、この子今絶対二次元の話ししてるな」と思いながらそんな彼女を横目で見た。