キミが教えてくれたこと(改)
ーー気に入らねぇよ
ーー他の男と仲良くしてんのなんて気に入らねぇよ、悪いか。
思い出せば思い出す程、頭の中がぐるぐるする。
あれは、ヤキモチ?
ーー…寂しかった?
じゃああれは、安心したくて私の気持ちを聞いたの?
なんだか嬉しい様な、もどかしくくすぐったい様な。
だけど確信もないしハッキリ言われたわけでもない。
それ以前に言い合いになってしまったしなんだか気まずいな…。
あんなに意気込んでたのに、連絡先も聞けなかったし…。
あれから数日、雨が続いていたこともあり晴人とは話せないままだった。
「はぁ…」
「あれ?茉莉花ちゃんこんなとこで何やってんの?」
教科担当の先生にお手伝いを頼まれ教室に帰っていた途中、屋根のついた裏庭のベンチに座ってため息をついていると、ふと声をかけられた。
「あ、山内さん!…と、」
そこには見覚えのある男の子が居た。
「ああ、もしかして亜里沙のクラスの転校生?はじめまして、亜里沙の彼氏で森本 隼人です」
そうだ!どこかで見たことあると思ったら体育祭の写真だ!
「あ、林茉莉花です!いつも山内さんにはそれはそれはお世話になっており…!」
「……。ふはっ!ほんとだ!めっちゃ面白い子!」
私が挨拶をすると森本君は手の甲で口元を押さえながら笑っていて、それを肘で突きながら「こら、やめなさいよ」と山内さんが制してる。
私なんか面白いこと言った?
「茉莉花ちゃんどうしたの?なんかあった?」
「え、あ、えっと…」
私が言いよどんでいると山内さんは首を傾げた。
「…亜里沙、俺先教室行ってるわ。また連絡して」
それじゃあまたね、林さん。と森本君は笑顔で教室棟へ向かって行く。
「…さて、何があったか詳しく話してもらおうか!」
「ええ!?いや、そんなたいした話しじゃ…っていうかごめん!二人の邪魔しちゃって…!」
「なに言ってんの。友達でしょ?邪魔なんて思わないから」
当たり前の様に言われ、私はその言葉が嬉しくてありがとう、と顔を赤らめて言った。
「彼氏さん、優しいね。私の事気遣って先に行ってくれたんだよね」
「アイツは超がつく程おせっかい野郎だからねー」
口では悪態をつきながらも山内さんの表情は優しかった。
「仲良いんだね」
「まぁ、今はね」
「?昔はそうじゃなかったの?」
私の問いかけに山内さんは、んーっと腕を組んで唸った。