キミが教えてくれたこと(改)
「仲悪いっていうか、よくぶつかり合ってはいたよね」
「へー!全然そんな風に見えない!」
なんだか誰かの恋愛話しを聞くなんて新鮮で、私は身を乗り出して話を聞いた。
「今はほとんどないけどね。当時は言わなくても気付いて欲しいっていう私のわがままだったり、相手のヤキモチだったり。よく言い合ってたなー。そういや最初は喧嘩ばっかしてたかも」
「どうやって今みたいに仲良くなったの!?」
懐かしみながら話す山内さんに私はいつのまにか晴人との解決策を探そうとしていた。
「んー、そうだな。"言い合う"っていうより"話し合う"ってことにシフトしたかも」
「"話し合う"?」
そう、と山内さんは頷いた。
「"こうして欲しい、なんでそうなの?"って自分の意見ばっかり押し付けるんじゃなくて、"どうしてそう思ったか、こうした方がいいんじゃないか"っていう前向きな話し合いができるようになったかな」
「…前向きに、か」
「そう、喧嘩してる時間より一緒に笑いあえる時間が多い方がいいでしょ?」
そうだよね、それこそ"勿体ない"よね。
「それと、相手に心を開いて欲しい時はこっちが先に心を開くこと!」
これ、うちのばあちゃんがよく言ってたんだ。そう言いながら笑う山内さんにつられて私も笑った。
「…茉莉花ちゃん、恋してるんだね」
「ええ!?あ、う、うん…そう、かも」
ふふふ、と山内さんは楽しそうに髪を耳にかけた。
「仲直り、できるといいね」
私は顔を赤くして頷くしか出来なかった。
「さ!一緒に教室行こ!美月達が待ってるよ!」
「うん!」
ベンチから腰を上げ二人で話しながら教室へ向かった。