キミが教えてくれたこと(改)
「そ、そういえばさ。私達、学校では話すけど連絡先とか知らないよね」
「ああ…そういえばそうだな」
緊張で何か話してないと落ち着かないっ!
「晴人の連絡先、教えてくれない?」
ドキドキしながら見上げると晴人はなんだか歯切れが悪く、あー…と頭をかいた。
「俺のスマホ今ぶっ壊れてて、使えないんだよな」
「ええ!?そ、そうなんだ…」
「画面もバッキバキでご臨終。」
「なにしたらそうなるの…?」
「…なんでだったっけな?」
口を尖らせ考える晴人の顔を見ていると後ろから大きなクラクションの音が響いた。
「!茉莉花、危ない!!」
晴人が即座に反応し、私を抱き寄せてくれた。
私の後ろを大型トラックが大きな水しぶきをたてて通り過ぎて行く。
「…あっぶねー」
「ご、ごごごめんねっ!私がちゃんと見てなかったから!」
「いや、ここ道幅狭いのに車通り多いし雨だと見通しも悪いから…。俺もこないだ…ーー」
晴人は私を抱きしめたまま過ぎて行くトラックを眺め動かなくなってしまった。
「…晴人?」
不思議に思い名前を呼ぶと引き戻されたように晴人は私に視線を戻す。
「え、ああ、ごめん。なんでもない」
離れた身体から体温が消え少し寂しさが広がる。その間も晴人は何かを考えているようだった。
「どうしたの?何かあった?」
「…なんでもないよ。心配すんな」
晴人はいつものように私の頭を撫でて笑った。
明日も、明後日もこの先もずっと。
こうして晴人と一緒にいれたらいいな。
どうかこんな小さな幸せが続きますように。
そう願いながら雨の中晴人と二人で一つの傘をさしながら駅までの道を歩いた。