キミが教えてくれたこと(改)
私は昔から自分に自信が無く、衝突を恐れ人に合わせることでみんなに嫌われないようになんとか毎日を過ごしていた。
誰かの提案にもいいね、と頷きどう思う?と聞かれても私もそう思う、と同調していた。
特に何か言われる事も、ましてや喧嘩する事もない。
ただいつも自分の本音は言わず、上辺だけの付き合いのような気がしてたまにそんな自分が嫌になる時もあったが見て見ぬふりをして毎日を過ごしていた。
高校に入り、小・中まで同じだった子達とも離れ新しい場所での友達作りを億劫に感じながらも、自然と出来ていくグループの中に何とか入る事ができた。
「茉莉花もそう思うよねー?」
「うん、私もそう思う」
いつものように自分の意見は言わず、誰かに同調し人の顔色ばかり伺いながらみんなに合わせていた。
そんなある日の出来事だった。
「茉莉花ってさー、人に合わせてばっかで全然自分の事話さないよねー」
「そうだね、人任せで自分の意見言わないし」
「いっつもヘラヘラして八方美人っていうか…」
ほんとそれー!と言いながらみんなの笑い声が教室の中から聞こえる。
今まで平穏に過ごして、なんとかみんなの輪の中に入れていると思っていた。
だけどそれは私の独りよがりで、みんな心の中では私のことなんてなんとも思ってなかったんだと思い知らされた。
仕方ない、自分が蒔いた種だ。
自分こそが上辺だけの付き合いをしているのに、相手に信頼してもらえるわけがない。
わかっている。だけど、今更どうやって自分を変えていけばいいかわからない。
教えてくれる人もいない。
そんな風に考えているとふいに教室のドアが開いた。
そこには先程のグループの女の子達が教室を出て行こうとしたところでドアの前でかち合ってしまった。
「あ、ごめん…」
反射的に謝罪をしてなんとかその場をやり過ごそうとしたが、グループの一人が「…もしかして聞いてた?」と私に問いかけてきた。
私は何も言えず頷く。
「まぁそういう事だから。うちらのグループから外れてくれる?」
行こう、という彼女の一言に女の子達はその後ろをついて行ってしまった。
その日を境に私は彼女達のグループに入ることは無かった。
人の顔色を伺うのも、自分の意見を押し殺すのももう疲れた。
だったら一人でいる方がマシだ。
誰にも気付かれず、誰にも干渉されないためには確かにみんなと距離を置いた方が楽だと思った。
そうして私は自分だけの世界を作ることにした。
天野君の様に楽しく毎日を過ごすなんて、私には夢のような話。
心から友達と呼べる人が私には一人もいない。
もしかしたらこれからもずっとそうかもしれない…。
そんな自分が嫌い、だけどどうしたらいいかわからない。
ずっとその無限ループの中にはまってしまって抜け出せずにいる。
本当は…私だって…。
そこでまた私の思考は停止した。