キミが教えてくれたこと(改)
…ーーーちゃんっ
…ーーーま、かちゃん!
「茉莉花ちゃん!!」
「…ん、あれ…百合…?」
「茉莉花ちゃん!!良かったーっ!」
「茉莉花ちん!!私先生呼んでくる!」
目を開けると百合、山内さん、道下さんが目の前にいた。
「…あれ?ここは…?」
「保健室だよ!茉莉花ちゃん急に教室飛び出してなかなか帰って来ないから、みんなで探してたんだよ!そしたら旧校舎の裏で倒れてて…。」
「ほんっと心臓が止まるかと思った!このまま目覚まさなかったらどうしようってすごい心配だったんだからね!」
百合と山内さんの目に薄く涙の膜が張る。
頭がぼーっとして思考が鈍っている。
「でも茉莉花ちゃん、何で旧校舎の裏になんて行ってたの?」
百合が心配そうに私を覗き込んでくる。
私はおぼつかない頭で記憶を辿っていく。
「…あれ?何でだっけ?」
旧校舎の裏?
私、何でそんなところに?
「林さん、体調はどう?」
百合と山内さんの後ろから保健室の先生が現れ、私のおでこに手を当てる。
「熱はなさそうね」
「すみません、ご心配をおかけしました…」
「あなた、旧校舎の裏で倒れてたんですって?大丈夫?どこか体に異変は無い?」
ゆっくりと上体を起こし体を触ってみるがどこにも異変は無い。
「…特にどこも…」
百合がほっとしたのか小さくため息をついたのが聞こえた。
「そう。夏バテかしら…。とにかく今日はお家に帰りなさい。担任の先生には私から連絡しておくわ」
「じゃあ私茉莉花ちゃんの鞄取ってくるね!」
「えっ、あ、ありがとう!」
山内さんがそう言って保健室を出て行くのを見送った。
「茉莉花ちゃん、ほんとに大丈夫?」
「茉莉花ちん、教室出る前も変だったし…」
「え?そうだっけ?夏バテかな?」
なんだか記憶がすっぽり抜けてるみたい。
体はどこも変じゃ無いのに、何か違和感だけが残る。
「とにかく今日はゆっくり休んでね!」
「体調万全で夏休みのプールにも来てもらわないといけないからね〜!」
「うん!ありがとう!」
「茉莉花ちゃん!鞄おまたせ!」
「山内さんごめんね、ありがとー!」
山内さんから鞄を受け取り、保健室の先生が担任の先生に連絡を入れてくれたことを確認すると私はそのまま自宅へと向かった。