キミが教えてくれたこと(改)


「んんんん〜っでも何で私あんな所にいたんだろ?」


自宅までの道のりを腕を組みながら記憶を辿るが、全く思い出せない。

何か大事な事を忘れているような…。


「ダメだ、全然思い出せない…」

交差点に差し掛かり歩行者信号が赤になっているのが見えたため、歩みを止めて信号待ちをする。


車が目の前を行き交う中、大型トラックが水溜りを踏み大きな水しぶきをあげるのを見た。

その光景がスローモーションに見え、無数の水しぶきがゆっくりと地面に溶けていく。



「……っあ、あれ?」

水溜りが歪んで見え、瞬きをすると目からたくさんの涙が溢れ落ちた。


「えっ?えっ?なに、これ…」

何度拭っても溢れる涙を必死に拭き取る。

信号待ちの人達にその姿を心配そうに見られ、恥ずかしくなり私は青信号になったのを確認するとすぐさま自宅へと向かった。

まだ誰もいない自宅に到着するとそのまま自室に向かう。
その間も涙はボロボロと流れ落ちる。


「なにこれっ、全然止まらない!」

自分自身も何が起こってるかわからない。

そのままベッドにダイブし枕に顔を埋める。

「やっぱり私、どこかおかしいのかな?」


少しずつ冷静になり、涙がすっと引いていく。


「なんだろ…すごく疲れた…」


涙が止まると同時に体に倦怠感を覚える。
まるで深い深い海に沈んでいくように、私は意識を手放した。



ーーー茉莉花!


どこか遠くで私を呼ぶ声が聞こえる。

あれは…、誰だったっけ…。







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