キミが教えてくれたこと(改)
いつまでもこの胸に。


「見て見て!セクシー?」

道下さんは布面積の少ない水着を制服の上から当てがい、私達にウインクした。


「美月ー、それはやりすぎ!」

「そうね。何を守ってるか分からない水着ね…」

「こ、こっちの水着も道下さんに似合いそうだよ!」

「ちょっと!みんな冗談だから!美月ジョークだから!」


今日は学校帰りに百合、道下さん、山内さんと私でショッピングモールに来ている。
夏休みのプールに向けて、私達は水着を新調しようとここに来たのだ。

旧校舎裏で倒れてから数日経ち、特に私の体調に問題は無くごく普通に過ごしていた。


「買った買った〜!後はプールを楽しむだけ〜♪」

「言ってる間に夏休みだもんね!あと1週間くらい?はい、茉莉花ちゃんの分」

「ありがとう!早いねー!楽しみ!」

買い物が終わり、近くのカフェで一休み。
乾いた体に冷たい炭酸ジュースが染み渡る。


「来年は受験生だしこんなに夏休みを満喫できるのも最後かなー…」

山内さんの一言に私と道下さんはため息を吐いた。

「受験生かー…。あっと言う間だね…」

「みんなは大学に行くの?」

道下さんの問いに私は頭を悩ませた。

「私は進学。山内さんもだっけ?」

「うん。やりたい事って明確に決まってないけど、親がとりあえず大学に行けって。美月は専門学校だよね?」

「うん!美容系の専門学校に行くよ!美容師さんになりたいんだ〜!」

「えー!みんなすごい…。私なんてまだ何にも決まってないし、やりたい事もわかんない…」


17歳。今まで毎日が過ぎるのをただ待っていた私が、今ではやっと"明日"が楽しみになっていた。

そんな私がさらに先の未来に何かを思い描くにはまだまだ時間が必要だ。



「やりたい事が早く見つかるなんて稀だよ!みんないろんな事を知って学んで、やっと見つかるんじゃない?」

「そうだよ。歳を重ねてからやりたい事がみつかる方もいらっしゃるしね」


そっか、そうだよね。
私のペースで探せばいいよね。
みんなのおかげで前向きに考える事ができる。
私ってこんなにプラス思考だったっけ?


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