キミが教えてくれたこと(改)


「あ、わ、私、1年の佐藤(さとう) みのりですっ…!」

「私は2年の林茉莉花です。突然ごめんね…」


なんとなく彼女を放っておけなくて思わずお昼休みを一緒に過ごす事になってしまった。


「いえっ、とんでもないです…!すみません、誰かとお昼ご飯食べるの久々で…緊張してしまい…」

「いつも一人でここでお昼ご飯食べてるの?」

「は、はい。教室に人がいっぱいいる時はここに…。前に人気のない所を探してたらたまたま見つけて…」


彼女はそう言いながら目線を下げ、お箸を止めた。


「クラスの子達とは?」

「それが…私、高校入学前にこっちに転校して来て、知り合いも誰もいなくて…。元々友達作りも苦手で、そのまま何もせずにいるとゴールデンウィーク明けにはグループが出来ててどこにも入り込めなくなったと言いますか…」


ずーんと音が聞こえるかのように肩を落として話す横顔を見て、なんだか自分を重ね合わせてしまう。


「…実は、私も。誰かと関わるのが苦手で、ずっと一人ぼっちだったの」


「え?」と顔を上げる彼女と目線が絡み、私は微笑んで頷いた。


「過去にトラウマがあってね。誰とも関わりたくないって思ってた。実は私もこの春にこの学校に転校して来て、最初はずっと一人だった。だけど、自分から行動を起こして優しい友達が出来て今は一人じゃないよ」


「そう、だったんですね…。でも全然そんな風に見えないです。今も、こんな私に声をかけてくれたし…」


「それ!」

私の声にビックリして彼女は大きく目を見開いた。


「私も前まで"私みたいな"とか"私なんて"ってよく言ってたなー」

「私…超絶ネガティブで…自己肯定感もかなり低いですし…。変われる先輩が羨ましいです…」


目に薄く涙を浮かべる姿に胸がぎゅっと締め付けられる。


「私達は、他の誰かになることはできないし、他の誰かも私達なることはできない。みのりちゃんにはみのりちゃんの良いところが絶対にあるよ!大丈夫!一人ぼっちだった私が言うんだから!」


「そう…ですかね…?」


「うん!絶対!」


私が力強く断言すると、みのりちゃんはふわっと笑顔になった。



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