キミが教えてくれたこと(改)
「はぁっはぁっはぁっ…ちょっと!晴人!なに勝手な事してるのよっ…!」
3ヶ月間も寝たきりだったとは感じさせない晴人の走りに私はなんとか着いて行くのが精一杯だった。
息が上がり、落ち着いた時に見た晴人は汗を一滴も流さず憎たらしくも爽やかに笑っていた。
「3ヶ月も寝たきりだったってのに、久しぶりに来た感覚がねぇな」
着いた場所は旧校舎の裏だった。
そこは私と晴人が友達になった場所で、お別れをした場所。
「…不思議な体験だったね」
「そうだな」
私は晴人の隣に立ち、笑顔で見上げた。
「…行くのかよ」
「え?」
「明日。放課後。」
単語のみを放ち、不貞腐れたように口を尖らせる。
「行っちゃダメなんでしょ?」
「なんだよ、行きたいのかよ」
変わってないな、不安になると私の口からちゃんと言葉にして欲しいってところ。
「行かないよ。だって…私は晴人のなんでしょ?」
晴人は少し耳を赤くして自分の襟足をかいた。
「茉莉花は?俺の事どう思ってんの?」
晴人。あなたは最後に教えてくれた。
「好きだよ。誰よりも。晴人が一番」
人を愛するという尊さを。
屈託なく笑う晴人の顔が近付き、私達は始まりと終わりを過ごしたこの場所で誰にも内緒の口付けを交わした。
END.