もしもの話が嫌いな君は、
「探さなきゃ………」



忘れてしまった何かを。


俺は、探さなきゃいけない。




見つけ出さないとあいつはずっと泣いている。

そんな気がした。




「史波!ご飯は?!」

「待って」


早く、早く見つけ出さないと。



俺が見つけ出さないと、本当にあいつは消えてしまう。


忘れているのが人なのか、物なのか、確証なんて何もないけれど、

白い服を纏った、天使のような女の子が。

顔と名前もわからない女の子が。


俺を呼んでいる気がした。



自分の部屋に入るなり、アルバムを開く。


どれも何の変哲もない、家族写真や、陸と遊んでる写真ばかり。


俺が探している白い服を着た女の子は、どこにも写っていない。




誰だ?

誰なんだ?


あの子は、誰だ?




忘れちゃいけないはずなのに。


こんなにも胸が痛むのに。
< 21 / 34 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop