もしもの話が嫌いな君は、
一瞬、風が強まって、雪で視界が塞がれた。



目を閉じた俺の耳に、懐かしい声が届く。





恐る恐る目を開けると、雪はもう止んでいた。




いつかの深い霧も、気づけばもう晴れていた。










「うた………。うただ………」


「やっほー!さゆみん!久しぶり!」



俺と佐弓の視線の先に、季節外れの真っ白なワンピースを身に纏ううたがいる。




「どこいってたのよ!ばか!」

「えーっとね、それは………お空の上と言いますか………」

「もう!意味わかんない!!」

「えへへ………」

駆け寄る佐弓とは反対に、俺は体が動かない。






ただ、勝手に涙が頬を伝っていくのはわかった。










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