もしもの話が嫌いな君は、
シナの家に行く前に、部屋の換気しとこ…。



そんなことを考えながら、部屋の窓を開けると、ちょうど強い風が吹いたんだろう。

勢いよく、窓から部屋の中に風が入り込む。




机の上に置いていたプリントや、壁にかけていたカレンダーが風の勢いで部屋を舞う。


「もう、早くカレー食べたいのに!」


急いでプリントを拾い集め、床に落ちたカレンダーに手をかける。







「7月23日。シナの誕生日」



そんな文字が目に入って、それが明後日にまで近づいていたことに気がついた。


………何も用意してないや。



明後日なのに………。




「…………何してんの?」

「わぁ!シナ!」


開けっぱなしだったドアからシナが現れ、部屋の惨状を見て、呆れ顔をする。


「ご飯の準備できたのに、なかなか来ないから呼びに来たら……汚ねー」

「ちちち、違うの!今ね、風が吹いてきて!」

「………今日全然風吹いてなかったじゃん」

「でも、本当に……」


「はぁ……食べたら片付け手伝ってやるから、先食べるぞ。陸がイライラしながら待ってる」

「はぁい……」



私はとりあえず集めたプリント類を机の上に置き、シナの後ろをついていく。


「………ねぇ、シナ、明後日って何してる?」

「……何急に」

「いいからいいから!」

「寝てる」

「もしも、もしもさ」

「うん」

「眠くなかったら、私と遊びにいこ!」

「…………………」



「どう?」

「………………眠くなかったらな」





明後日は土曜日で、約束もこじつけたわけで。


さて、シナの誕生日に向けて、準備をしなければ!



なーんて意気込んで、シナの家に着いたら、「遅いよ。いつまで待たせんの?」
とイライラしている陸に睨まれた。
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