もしもの話が嫌いな君は、


「……じゃあ、史波くんのことは好きじゃないの?」


さゆみんが訝しげな顔で聞いてくる。

「え?」

「そうだよ。恋愛感情とかないの?史波くんに対して」

「付き合ってないにしても、好きという感情は?あるの?ないの?」



詰め寄ってくる4人に、私は思わずたじろいだ。


シナのことが好き?


恋愛感情で?


そんなの………。


そんなの………。








「………………………好き、だけど」




たった二文字を口にしただけで、胸がグッと苦しくなる。

あんなに近くにずっといて、好きにならないわけないじゃん。


初めから、好きだったよ。

一番最初から、恋してた。




「………よくある幼なじみのお互い好き合ってるのに無自覚パターンかと思って焦ったわ」

「自覚しててなにより」

「幼なじみの無自覚ラブを見守るモブになるかと思った」



ホッと、胸を撫で下ろす素振りをするさゆみんと女子力組2人。


いや、まぁ、それは少女漫画でよくあるパターンだけど………、なんて苦笑いを浮かべていたら、




「…………じゃあさ、誕生日プレゼントは告白にしたら?」





一途女子が小首を傾げてそう言った。
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