初恋のキミに、さよならを
しばらくすると、お父さんは引っ越しの業者さんと話が終わった。
「そろそろ行こうか」とお父さんは車に乗り込んだ。
私も車に乗り込もうとしたその時‥‥‥
「さくらぁー!!」
遠くの方から叫ぶ声が聞こえた。
「‥‥‥!」
驚いて振り向くと、動揺を隠せなかった。
だって、目線の先には、必死に駆け走ってくるりくの姿があったから。
額には汗が滲んでいるのが遠くからでも分かる。
「ちゃんと、りくくんと最後のお別れしなさい」とお母さんは2人っきりにしてくれた。
「はぁ‥‥‥はぁ‥‥‥」
りくは、私の目の前に来ると乱れた呼吸を整えた。
「‥‥‥なんで?」
なんで、りくがここに?
引っ越しすることりくには伝えていないはずなのに‥‥‥
私の頭の中は、混乱していた。