初恋のキミに、さよならを
「もう、りく最低! 信じられない!」
「ちょっと、2人とも落ち着いて」
そんな私たちを美咲は宥める。
「桜もりくも素直になってよ」
美咲がそう言うと、「‥‥‥ごめん。言い過ぎた」とりくはバツが悪そうな顔をして謝ってきた。
「‥‥‥私の方こそ、ごめん。酷いこと言って」
最低って言うべき言葉じゃなかったと反省‥‥‥
「じゃあさ、仲直りしようぜ」
そう言って、りくは私に右手を前に差し出した。
「ほら、仲直りの握手とか言うだろう?」
「ふっ、何それ。子供じゃないんだし」
「いや、お前どう見たって子供だろ?」
「あのね〜! もう中学生なんだし子供じゃないもん!」
「桜、またケンカしないの」
美咲に止められてしまった。
まるで、お母さんみたいに言う美咲。
ほんと、美咲には敵わない。
「ほら、早く手を出せよ」
「うん」
りくの差し出された手に自分の右手を重ねる。
りくのその手は、私の手よりも何倍も大きくてゴツゴツしていて男らしい手をしていた。
私の心臓が飛び出そうなほどドキドキしてるなんてりくはきっと知らないだろう。
それからも、ケンカするたびに仲直りの握手をした。
一緒に学校登校したり、放課後や休みの日には一緒に遊んだり。
ふざけあったり、笑い合ったり。
いつも3人一緒だった。
でも、私はある日を境に2人から距離を置こうとした。