年下皇帝の甘い誘惑
それを聞いて、私もカイもハッとした。

「男がいるって知ってて、手をつけたんだろう?皇帝なら、何をしてもいいのか!?」

「……別れていると聞いたが?」

「この女が、勝手にそう言っているだけだろう!」

その激しい声に、涙が出てきた。

「止めて!明……私達、終わったのよ。」

「終わっちゃいない!おまえは、俺と結婚すると言っただろう!」

「だけど!あなたは私に暴力を振ってっ!私は耐えかねて、逃げてきた。あなたとは終わったのよ!」

明は、苦しんでいる。

「涼花、悪かった。俺が悪いんだ。心を入れ替える。だから戻ってきてくれ。」


その瞬間、カイの腕が私を引き離した。

「どうやら、一度話してみた方が、いいのかもしれない。」

「カイ……」

怖くて身体が震えた。

明と一緒にいたら、何をされるか分からない。

「お願い……側にいて……」

けれどカイは、私の肩を掴んだきり、黙ったままだ。

「もう、私への気持ちは、消えてしまったの?」
< 118 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop