年下皇帝の甘い誘惑
カイは顔を歪ませていた。

「ちゃんと、彼と別れてくれ。」

「カイ……」

「人の恋人を奪ったなんて、思いたくないんだ。」

そう言ってカイは、歩いて行ってしまった。


「ははは。誰かさんも、この尻軽女には呆れたみたいだな。」

そして明は、私の髪を掴んだ。

「痛い!」

「泣き叫べ!俺の元を離れた事を、後悔させてやる!」

バチンと顔を叩かれ、私が床に転がると、何度も何度も背中を蹴られた。

「いいか!二度と俺の側を離れるな!少しでも姿を消したら、またこうだからな!」

また顔を殴られて、鼻から血が出た。

ああ、もう……

私はこの男から、逃れられない。

一生こうやって、生きていかなきゃいけないんだ……


気を失いかけた時だった。

背中の痛みが止まった。

「おまえ、俺を本気で怒らせたな。」

カイの声が聞こえる。

「何が結婚するだ。本当に大事な女だったら、こんな目に遭わせない!」

バキッと音がして、身体が転がった音がした。
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