年下皇帝の甘い誘惑
「……離れれば、カイの気持ちも離れていくわ。」

「皇帝陛下の愛が、そんなモノだと思うのか。」

「とにかく、カイにはここにいる事を、言わないで。」

アルッティさんは、うんともすんとも言わなかった。

「まあ、その話はまた後でしましょう。今は夕食の時間だからね。」

そう言って、マーサさんを取り囲んで、私とアルッティさんは、夕食を摂った。


「まったく、涼花は皇帝陛下の気持ちを、軽く見過ぎです。」

「そうかな。」

「涼花がいなくなって、どれだけ騒いだか。伯爵が宥めるのも、大変だったんですよ?」

カイ。

急にいなくなってごめんね。

「確かに、他の国の血が王家に入る事を、よしとしない人もいるでしょう。」

「そうですね。」

「でも、日本人は違います!」

酔っぱらっているのか、アルッティさんはワインの瓶を、ドンッとテーブルに置いた。

「何よりも皇帝陛下のお母様が、日本の血を引いてますし、皇帝陛下も大の日本好きです。」

「は、はい。」

いつの間にか、私はアルッティさんから叱られる体制になった。

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