年下皇帝の甘い誘惑
「そこまでにしな。アルッティ。」

マーサさんが、アルッティさんを止めた。

「それ以上は、夕食も不味くなるからね。」

マーサさんは、私に向かって笑顔を見せてくれた。

「仕方ないですね。」

アルッティさんは、ワインの瓶を持って、寝てしまった。

「まったく。だらしない男だよ。」

そして、マーサさんと一緒に笑った。


それから二日後の事だった。

キッチンの裏口が揺れている事に気づいて、そこへ行ってみると、花束が置いてあった。

小振りの花束。

誰からだろう。

花束の中を見て、直ぐに分かった。


【 愛をこめて 】

短い文章だったけれど、その字は忘れもしない。

カイの字だったから。
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