年下皇帝の甘い誘惑
「カイ……」

裏口から飛び出して、カイを探したけれど、いなかった。

「どうしたんだい?涼花。慌てて外に出て。」

マーサさんが、私の元に駆け付けてくれた。

「カイが……カイが来ているかもしれないの。」

「カイって……皇帝陛下の事?」

「これ……」

私は花束をマーサさんに見せた。

「これは、皇帝陛下の字だね。愛をこめて……」

「きっと、アルッティさんからここにいるって聞いて、これを届けに来たんだわ。」

「涼花、落ち着いて。」


ああ、カイ。

アルッティさんにはあんな事言ったけれど、側にいると思うと会いたい。

「……いつか、アイニーさんの事が片付いたら、涼花を迎えに来てくれるよ。」

「迎えに?私を?」

「ああ……だから、それまで待っていよう。」

そして私は、涙を溢しながら、キッチンへ戻った。
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