年下皇帝の甘い誘惑
その日の夜は、久しぶりにアルッティさんが、別荘に来た。

「聞きましたよ、涼花。」

アルッティさんが、また難しい顔をしている。

「皇帝陛下が涼花に、宿題を出しているんだって?」

「宿題ね……」

そう言われれば、そうかもしれない。

「あれから三日も経っているなんて。返事を伸ばし過ぎですよ。」

「そう言われてもね……」

カイは、言う通り花束を届け続けた。

待っている、彼は。


「何を戸惑っているんです?お妃教育なら、俺がしますから、ご安心を。」

アルッティさんは、腕を前にして、お辞儀をした。

まるで私が、上司みたい。

「あと、強制送還の件ですが、皇帝陛下が許可しない限り、それはあり得ません。」

「でしょうね。」

「でしょうね!?知っていて、まだ行かないのですか!?」


小さな国だから、いくら伯爵が強制送還だ!って言ったとしても、カイが許さなかったら、それは覆せるとは思っていた。
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