年下皇帝の甘い誘惑
それから私は、時を見計らって、財布としばらく泊まれるだけの荷物を持って、空港に降り立った。

「来ましたね。」

「はい。あの、改めてお願いします。アルッティさん。」

「こちらこそ。」


自分でも馬鹿だと思う。

あの雨の日に出会ったばかりのアルッティさんに、付いていくだなんて。

でも他にいく場所もないし。

ここはアルッティさんを信じるしかない。


飛行機に乗って、向かう先はヨーロッパの方向だった。

「あの、アルッティさんの国って、ヨーロッパにあるんですか?」

「はい。と言っても、地図にも載っていない小さい国。」

「へえ。」

そんな小国の料理人なんて、日本人の私にできるかな。

なーんて。

ここまで来たら、やるしかない!

そして日本食ブームでも、起こしてやろうじゃないの!
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