年下皇帝の甘い誘惑
その日の夜、私はパウリに、飲みに行かないかと誘われた。

「気にしない、涼花。」

乾杯をしたパウリは、明るくそう言った。

「ただ単に、日本食が珍しいだけだよ。皇帝陛下も、食べれば満足するさ。」

「そうね。」

カイが言った言葉が、頭に過った。


『涼花に、喜んでもらいたいんだ。』


思い出すだけで、ドキドキする。

「ねえ。陛下の事は皆、どう思っているの?」

「どうって、尊敬しているし、皆、大好きだよ。」

「大好きって、随分フランクなのね。」

「そうだな。いわゆる偉い人なんだけど、気さくな友達感覚の人だよ。」

「へえ。」

そんな偉い人が、友達感覚で好きだなんて、珍しい国。

「威張ったところもないし、皆と仲良くしてくれる。時々、こうやって街に飲みに来る事もあるそうだ。」
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