年下皇帝の甘い誘惑
「……そうなの?」

「うん。」

胸がズキッと痛い。

やっぱり私、カイに惹かれていた?


「今日は、飲もう!涼花!」

「そうね、パウリ!」

改めて乾杯すると、私達はまた飲み始めた。


カイには、婚約者がいる。

それは、国を背負っている人なら、当たり前の事。

いくら国民の人と仲良くたって、結婚するには、ちゃんと身分のある人が選ばれるんだから、おかしい事じゃないじゃない。

でも、なぜだろう。

胸が痛くて、苦しい。


「涼花。泣かないで。」

「泣いてないわよ。」

私は涙を拭った。

「本当に愛していたの?」

「分からない。」

そうよ。出会ってまだ、数日しか経っていないじゃないの。

「本気になる前で、よかった。」

パウリが言う通り。

プチ失恋。

それでいいじゃない。
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