年下皇帝の甘い誘惑
私は飲み干したジョッキを、上にあげた。

「それはよかった。さっき、皇帝陛下に会った時、少し寂しそうな顔をしていたから。」

「ははは。そう見えた?」

わざと明るくして、もう一杯ビールを頼んだ。

するとパウリの手が、私の手の上に重なった。

「涼花は、皇帝陛下の事になると、寂しそうな顔をするね。」

パウリの温もりが、手から伝わって来る。

「俺と一緒にいる時は、笑っている。それは大事な事じゃない?」


何とも言えなかった。

確かにパウリと一緒にいる時は、私楽しい時間を過ごしている。

でも、カイとの時間はそうじゃない。


寂しいと思うのは、もっと一緒にいたいから。

悲しいと思うのは、カイに釣り合う人間じゃないから。


「ありがとう。でもね、陛下と一緒にいる時も、楽しいわよ。」
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