年下皇帝の甘い誘惑
そう言った途端、パウリの手が、私の手を強く握った。

「俺は、涼花を寂しくさせない。」

「パウリ?」

「涼花を愛している。俺の恋人になって下さい。」

一瞬、息が止まった。

「愛しているって……まだ、出会って2週間ぐらいしか、経っていないのに?」

「人を愛するのに、時間なんて関係ないよ。」


『パウリは、涼花を友達だと思っていないよ。』

レーナの言葉を思い出す。

「返事は、今じゃなくていい。待っているから。」

パウリは手を離すと、私と自分の分のビールを、頼んでくれた。

「今のは宿題。飲んでいる時には忘れて。一緒に楽しい時間を過ごそう。」

「うん……」

パウリはそう言って、飲んでいる時には、他の話題を振りまいてくれた。

さすがだと思う。その気づかい。
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