年下皇帝の甘い誘惑
扉が閉まると、カイは駆け足で私のところへ来た。

「どうしたの?仕事で何か、辛い事でもあった?」

「ううん。」

今からこの人の告白を断るのだと思ったら、涙が出て来た。

「なんだか、悪い予感がするね。」

「ごめんなさい。」

カイが私の涙を拭ってくれた。

「その涙を見ると、僕は振られるのかな。」

胸がズキッとなった。

「本当にごめんなさい。」

私は一歩後ろに下がって、頭を下げた。

「理由を教えて。」

「私、まだ仕事に集中したいの。与えられた役目を、全うしたいの。」

「そうか。なら、仕方ない。」

カイはそう言うと、私の横をスーッと通り抜けた。


ごめんなさい。

私は何度も何度も、謝り続けた。

カイの足音が、遠ざかっていく。
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