年下皇帝の甘い誘惑
思わず振り返ってしまった。

「カイ!」

振り返ったカイの姿が、涙で滲んで見えた。

「本当は、あなたの事が好き!どうしようもないくらい、愛しているの!」

するとカイは、戻ってきてくれて、私を抱きしめてくれた。

「ごめんなさい。でも、どうしてもカイの愛には、応えられなくて。」

「いいんだよ。君に料理人になる役目を与えたのは、この僕だ。君が仕事に一生懸命になる事が、僕への気持ちに、応えてくれているのだから。」

「カイ……」

顔を上げるとカイは、寂しそうに笑っていた。

「でも忘れないで。僕は涼花をいつも想っている。太陽が昼間輝くように、月が夜空を照らすように、僕は君を想う。」

そして私の唇は、カイの唇と重なった。
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