年下皇帝の甘い誘惑
昨日と同じドレスを着て、私とカイはお城の庭にやってきた。

「わぁ……綺麗……」

初めてカイと会った時も、こんな素敵な庭でだった。

「この庭はね。母上が作ったんだ。」

「そうなの?お母さんが作るまでは、なかったの?」

「そうなんだ。お城の庭に花がないのは寂しいと言ってね。毎日手入れをしていたんだ。」

カイは、寂しそうに花に手を添えた。

「カイの、お父さんとお母さんは?」

「……国の視察中に、命を奪われた。俺は21歳で両親を失い、この国を背負った。」

「辛かったわね。」

若い時に両親を亡くすなんて、悲しくない訳ないわ。

私も、元カレがいなかったら、両親に連絡も取れるのに。

結局、ルシッカに来ることも、両親に言えなかった。

「だから、結婚する人には、庭の花を大切にする人がいいんだ。」

「そうね。」

するとカイは、じーっと私を見ている。
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