年下皇帝の甘い誘惑
「ねえ、どうだったの?昨日の夜は?」

レーナは私を元気づけようとしてくれている。

「花火を見たわ。とてもロマンティックだった。」

「あれ?ハナビって言うの?初めて見た。とても綺麗ね。」

「陛下が、わざわざ用意して下さったの。」

「さすが!伊達に皇帝陛下を名乗っていない!」

レーナの言葉に、ちょっと元気が出た。


「このまま恋人同士でいれば、結婚も間近ね。」

「……ううん。結婚はできないわ。」

「どうして?」

「どうしてって。この前と一緒。私がルシッカの王妃なんて、なれないもの。」

「ルシッカの人。日本の人、好きだよ。大丈夫だよ。」

「うん……」


それは気休めだということも、分かっている。

そして私も、この状況を楽しめるだけの心の余裕がまだない。
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