君の笑顔
アキの意識が急にはっきりした。


「私が一番に祝うもんね!」

なんて言いながら、足をふらつかせて台所へ行ってしまった。


「アキ!座ってな!」

私の声はアキに届いていなかった。


すぐに戻ってきたと思ったら、手には大きなホールケーキが。


「…これどうしたの?」

「実はね〜、実家でこっそり作ってきたんだぁ!」



涙がこぼれた。


「アキ!ありがとう!」

小さなチョコのプレートには、「由美 おめでとう」って書いてある。

私の大好きな苺と生クリームいっぱいのケーキ。


時計はすでに23時55分を指していた。
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