君の笑顔
覚悟して教室に入る。

すぐに松田の姿を見つけてしまった。

脳はできれば見たくないって思ってるのに、目だけが松田の姿を追うんだ。


おとなしく、ちょこんと座って、なにか本を読んでいる。

挨拶ぐらいは…いいでしょ?

自然に振る舞うんだ。

意識したらだめだよ。

『普通に』するんだ。


「おはよう…」


本から目を離さず、真剣に読んでいる。

私を見ずに言った。

「おは…よう…」



やっぱりね。

すぐにわかったよ。

避けられてる。

いつもの手紙交換もなく、淡々とうちらは板書を続けた。

松田から話しかけてくれてたよね。

何も喋ってくれない松田。

あの笑顔をもう私には向けてくれないのかな…?
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