キミと、光の彼方へ。
「ごめんな。10時過ぎちまって」

「いいよ。しかも、私が笑いこけてたせいでもあるし」

「確かにすっげえ笑ってたもんな。桑島さんの爆笑映像初めて見た」

「映像じゃないよ」

「あっ、そっか。んじゃ、なんだ?爆笑リアル?」

「何それ?ふふふっ」

「また笑ってる。意外とツボ浅いんだな」


浅いというより、刺激されてしまったから、笑いの種っていうアレルギー物質に対して過敏に反応してるだけだと思う。

完全にペースを乱された。

全部、碧海くんのせいだ。


「あっ、そうだ。言い忘れてたけど、夏休み中暇だったら練習見に来いよ」

「見に来い?」

「訂正訂正。見に来て下さい」


私はうんうんと頷いた。


「それなりに暇じゃないから無理だと思うけど、行ける時は行く」

「よろしくな。遠くからでも応援されると嬉しいんだぜ」

「ふ~ん」

「待ってるから、絶対に来いよ」

「はいはい」


なんて飽きれ声で言ったけど、内心ちょっとキュンとした。

ふいに、待ってるとか言われるとなんか体が火照ってくる。

熱帯夜のせいじゃなくて、碧海くんの優しくて甘いちょっと低めの声で発せられる魔法の言葉のせいなんだ。


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