キミと、光の彼方へ。
「海里」

「何?」


名前を呼べば振り向いてくれて、心配してくれて、私は今、すごく贅沢な時間を送っていると思う。

だけど、それ以上を求めたくなってしまった。

そうなったらもう...止まれない。

止まってはいけない。


「珠汐奈?」


私が布団から起き上がろうとすると、心配そうな顔をして、私の背中に手を当てて手伝ってくれた。

海里が離れていってしまうその前に、私は腕を伸ばして海里の左腕を掴んだ。

きっと驚いてる。

なんでこんなことしてるんだって思ってる。

でも、いい。

いいんだ。

意味不明だって、なんだって構わない。

私は...伝えたい。

この想いが破裂してしまう前に、伝えたい。

希望が萎んでなくなる前に、伝えたい。


「海里......私......私ね......」


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