キミと、光の彼方へ。
私は地面に倒れているはず......だった。

だけど、今私は......。

呼吸をして感じ取れるものがある。

甘くて爽やかな、ちょっとだけキュンとする香りが鼻を刺激する。

この香りを、私は...覚えている。


「碧海くん......」

「よっ」

「どうしてここに?」

「どうして...だろうな?」

「なんで疑問で返すの?私が聞いてるんだけど」

「そう言われてもなんとなく来たからなぁ。ちょっと変なこというけど、桑嶋さんの涙の匂いでもしたのかもな」

「ちょっと、じゃなくて、かなり変」

「そうか?」

「うん...」


一体何度目だろう。

私は碧海くんにまた助けられてしまった。

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