キミと、光の彼方へ。
「この前はあんなに笑ってたのに今日は泣いてるからびっくりした」

「ごめん...」

「謝らなくていい」

「うん...」


ぐずぐず泣いてしまい、私は碧海くんに手を引かれて海岸の端っこの方に来ていた。

遠くでは花火を上げる準備が始まっており、観覧席に人が集まっているのがなんとなく分かった。

なんとなくというのも、泣きすぎて目が蜂に刺されたみたいに腫れてしまったから。

そもそも大きい目じゃないのに、こんな風になってしまったら、ますます救いようがないブスになる。


「あのさ」

「うん...」

「理由、聞いてもいいか?さすがに...放っておけないから」

「うん...」


私はまたあのハンカチで涙を拭った後、それを握りしめて深呼吸をした。

潮風が少し痛い。

焼けた肌に風がすり抜けると、じりじりと焦がすような痛みを覚える。

夜だというのにまだ生暖かくて気持ちが悪い。

あの日とは違う風が吹いている。

ふ~っと長い息を吐いて、私は口を開いた。


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