キミと、光の彼方へ。

「ごめん。もういいよ。話したら大分楽に...」

「楽になんてなってないだろ？本当は他にも悩んで苦しんでるんだろ？いい加減、自分に嘘つくの止めろよ」


碧海くんが...怒ってる。

私に対して怒ってる。


「俺、桑嶋さんがバイトしてる理由、知ってるんだよ」

「えっ......」

「家に居たくないから、だよな？」

「なんでそれを...」


碧海くんが私に視線を向けた。

海を投影したような透明感のある漆黒の瞳に吸い込まれそうになる。

私ははっとして目を反らすと、碧海くんが私の肩を掴んで自分の方に向けさせた。


「逃げてちゃ、なんも変わらない。これは乗り越えなきゃならないことなんだ。桑嶋さんは強い。自分でなんとかしようって考えて1人で努力してきたんだから」

「強くない...。私はすっごく弱虫で...だからこんなに泣いて、周りの人に迷惑かけてる。私は...だから......」


弱い人間なんだ......。