キミと、光の彼方へ。
得失
8月20日。
その日は、父の命日だった。
母は生憎体調が悪く、私と砂汐奈だけで、お墓参りに行くことになった。
父のお墓までは、ずっと上り坂だ。
「お姉ちゃん、さゆ疲れた~」
「もうちょっとだから、頑張って」
「全然もうちょっとじゃないよ~。おんぶして~」
「え~、やだなぁ」
「やだやだ!おんぶして~」
そう言ってふて腐れて立ち止まった砂汐奈の頭に私は手をのせた。
砂汐奈の髪は相変わらずさらっさらで、姉である私が羨んでしまうほど美しい。
こんな髪を持った女性に産まれたかった。
しかし、今はそんなことを考えている場合ではない。
砂汐奈の説得だ。
「お姉ちゃんが砂汐奈をおんぶしたくないのはね、砂汐奈を子供扱いしたくないからだよ。砂汐奈、こんなに大きくなったんだもん、頑張って登ってお父さんに報告しようよ」
「ほんとはイヤだけどイヤだけど、イヤだ...けど......。うん!分かった!」
「砂汐奈がお家に帰るまでお姉ちゃんにおんぶしてもらわなかったら、一緒にアイス食べようね」
「おっしゃーっ!」
琉太くんの影響を受けて少し言葉が男っぽくなっているけど、それは気にならなかったことにしよう。
「よ~し、じゃあ麦茶飲んで登るぞ!」
「お~っ!」
その日は、父の命日だった。
母は生憎体調が悪く、私と砂汐奈だけで、お墓参りに行くことになった。
父のお墓までは、ずっと上り坂だ。
「お姉ちゃん、さゆ疲れた~」
「もうちょっとだから、頑張って」
「全然もうちょっとじゃないよ~。おんぶして~」
「え~、やだなぁ」
「やだやだ!おんぶして~」
そう言ってふて腐れて立ち止まった砂汐奈の頭に私は手をのせた。
砂汐奈の髪は相変わらずさらっさらで、姉である私が羨んでしまうほど美しい。
こんな髪を持った女性に産まれたかった。
しかし、今はそんなことを考えている場合ではない。
砂汐奈の説得だ。
「お姉ちゃんが砂汐奈をおんぶしたくないのはね、砂汐奈を子供扱いしたくないからだよ。砂汐奈、こんなに大きくなったんだもん、頑張って登ってお父さんに報告しようよ」
「ほんとはイヤだけどイヤだけど、イヤだ...けど......。うん!分かった!」
「砂汐奈がお家に帰るまでお姉ちゃんにおんぶしてもらわなかったら、一緒にアイス食べようね」
「おっしゃーっ!」
琉太くんの影響を受けて少し言葉が男っぽくなっているけど、それは気にならなかったことにしよう。
「よ~し、じゃあ麦茶飲んで登るぞ!」
「お~っ!」