キミと、光の彼方へ。
「珠汐奈」


海里が私の名前を呼んだ。

私の手は、まるで呪文をかけられたかのように、途端に動かなくなった。

セミの鳴き声が四方から聞こえてきてうるさい。

足元には、お供え物のお菓子の欠片を運ぶ蟻がせっせと歩いている。

そんな中、私だけが静止してしまった。


「ちょっと待っててくれ。......一緒に帰ろう......」


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