キミと、光の彼方へ。
「そういやさぁ」


急にトーンが高くなった。

浮き沈みが激しいのは、やっぱり跳べないストレスだろうか。

生暖かい風が窓から吹き込んできた。


「桑嶋さん、今日俺を見に来たってことであってるよな?」


俺を見に来た......。

その表現に少し笑いそうになる。

自意識過剰にもほどがあるよ。


「うん、まぁ」

「良かった。待ってた甲斐があったわ。正直なところ、ハマートに催促に行こうか迷ったんだよな。俺、わりと待てないヤツでさぁ、今回はよく待った方だ」

「そうなんだ。じゃあ、今日は準備万端だね」

「あー、そのことなんだが...」


言葉を濁し、頭をかく碧海くん。

本当に...そうなのだろうか。


「まだ1度も跳べてない。それでも良ければ見てくれ」

「見るよ。せっかく来たんだし」

「そっか。んじゃ、応援頼むな」

「うん。頑張れ」

「桑島さんの前でカッコ悪い姿見せたら株大暴落だからな。もっちろん、頑張らせてもらうぜ」


株大暴落と言っていたけれど、そもそもそんなに上がっていないような...。

とりあえずそれは聞かなかったことにして応援に集中しよう。

私達は再び校庭へと向かって行った。

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