キミと、光の彼方へ。
風はさっきよりも穏やかになってきていた。

サッカー部も野球部もお昼休憩に入ったらしく、校庭の真ん中には走り高跳びのあのセットと碧海くんだけ。

水泳部も終わったのかプールサイドに集まってきているようだった。

この状況の中でまだ1度も跳べていない碧海くんが跳ぶことは出来るのか。

それは恐らく私にも碧海くんにも分からない。

可能性は測れない。

私は碧海くんの指示通り、バーのほぼ真横の位置から10メートルくらい離れたところから見ていた。

碧海くんの様子はというと、ガチガチに緊張しているわけではないけれど、顔が強張っているのは確かで、肩をぐるぐる回したり、屈伸を何度も繰り返しながらリラックスしようとしているのが伝わってきた。


「っしゃー!行くぜ!」


勝負は3本。

果たして碧海くんは跳ぶことが出来るのか。

碧海くんがちらっと私を見た。

私はこくりと頷き、頑張れと口を動かした。

それに対してなぜかピースサインをした後、碧海くんは走り出した。


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