キミと、光の彼方へ。
「碧海くん、頑張れ!負けるな!絶対跳べる!越えられるよ!」


私の声に、碧海くんはダブルピースをかました。

不思議な感情表現の仕方だ。

でも、ほんの少しだけ、そういう素直なところがいいなと思った。

碧海くんの瞳は、真っ直ぐあのバーの向こう側を捉えている。

バーを越えてその先に見える景色を想像しているみたいだ。

長い集中の時間の後、碧海くんは大きな深呼吸を3回繰り返した。

空は何の汚れもなく、真っ青。

太陽は空のど真ん中で笑っている。

風は凪ぎ、彼の影をさらっていく。


「碧海くん、いけっ!」


私の声で碧海くんは走り出した。


< 179 / 300 >

この作品をシェア

pagetop