キミと、光の彼方へ。
翌日から予定通り新学期が始まった。

私はというと、水泳部の朝練があと2週間続くという海里とは別に1人で登校していた。


「おっはよー、珠汐奈!」

「おはよ、砂良」

「あれ?なんか珠汐奈、雰囲気変わった?」

「えっ?」

「さては海里と良いことあったな?」

「うぇっ!な、ないよ、そんなの。あっても悪いことだし...」

「どういうこと、それ」

「昼休みにでもゆっくり話すよ」

「え~、今話してよ~」

「ごめん。私もやらなきゃならないことがあるから」

「はぁ?」


砂良を置いて私はベランダに出てきた。

まだ8時を少し過ぎたぐらいだから、太陽はそんなに高いところにない。

しかし、東の空から突き付けられる眩しさに、思わず目を細めてしまった。

朝日に照らされる中、校庭の真ん中には、
あのバーがあった。

その後方には碧海くんがいる。

そこまでは至って普通のこと。

問題なのはそこではない。

私は校庭の端からやって来る2つの人影を発見した。

その1つは私の良く知っている人のもので、もう1つは......。

気づいた時には碧海くんは走り出していた。

あの軽快なリズムで助走し、跳ぶ体勢に入る。


―――トン......。


碧海くんはマットの上にいた。


「すごい...」


口元を押さえ、思わず呟いてしまった。

碧海くんが今日もまた跳べるとは思わなかった。

今までのスランプが嘘だったかのように、碧海くんは次々と成功していた。

毎回フォームは乱れることなく、力強く踏み切って高く飛び上がり、マットに吸い込まれていく。

その様子を何度見ても無意識の内に引き込まれてしまう。

そして、それは私だけじゃなくて、人魚姫も同じだった。

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